無精子症でも妊娠することは可能なの?
昔は無精子症と診断されると、手の打ちようがなく子供を諦めざるを
得ない状態でした。
しかし、現在では無精子症の方でも赤ちゃんを授かることは可能で
実際に無精子症が原因で妊娠をほぼ諦めていた場合でも、赤ちゃんが
誕生しているケースはとても多くあります。
まず大切なのは、精液検査により精子がいないと言われたとしても、何度か
検査を繰り返し行ってみることです。
「無精子症」の疑いがある場合でも、何度か採精を行い精液を遠心分離機にかけていると、
わずかですが良好な精子が見つかるケースがあるんです。
精液検査の結果は、その時の本人の体の状態などにより影響してきますので
何度か検査を行ってから最終的に診断するというのが一般的です。
それでも精子がいなかった場合は無精子症と診断されますが
無精子症は大きく分けて2つのタイプに分かれます。
閉塞性無精子症
1つ目は閉塞性無精子症と言って、精巣の中で精子はつくられているけれども、精巣から体外へ出る道のどこかが閉塞していて、精子が体外へ出ることができない
状態のことです。
この場合、精子の通り道が塞がっているだけで精子をつくる機能自体は正常となりますので
陰嚢を切って精巣上体から精子を回収するMESAや、切らずに針で精巣上体を刺して
吸引するPESA、また精路をつなげる精路再建手術などを行うことで妊娠も十分期待できます。
非閉塞性無精子症
そして、無精子症のもう1つのタイプが非閉塞性無精子症というものです。精管に閉塞がないにも関わらず、精子をつくる機能に問題がある状態のことを
言います。
精巣でつくられる精子がほとんどないということですから閉塞無精子症よりも
問題は深刻となります。
しかし、非閉塞性無精子症の場合でも全く妊娠を望むことができないわけではなく
精巣全体を顕微鏡で観察しながら、精子もしくは後期精子細胞を回収する
MD-TESEによって、精巣内に精子が1個でも2個でも見つかれば、
妊娠は可能なんです!
精子が1個も見つからなくても精子になる前段階の「後期精子細胞」が見つかれば
顕微授精による妊娠も可能です。
非閉塞性無精子症と診断されると絶望的に感じる方もいますが、このような
治療を行えば妊娠の可能性もあるということを理解しておきましょう。
最近では顕微鏡もどんどん発達していますので、今までよりも効率的に
精子を回収できるようになっているようです。
しかし、それでも精子が1個も見つからないケースもあります。
精子が1個も見つからない場合は残念ながら旦那様の精子を使っての
妊娠は難しくなります。
それでもどうしても諦められない場合は非配偶者間人工授精(AID)を行うという
選択肢もありますが、その選択は夫婦でよく話し合い慎重に行ってください。